企業のソーシャルメディアの活用なども一時期のブームは去って、更新のない寂しいページが増えている。日本ではTwitterが根強く、その更新性の手軽さから企業も継続利用している。一方YouTubeの公式チャンネルは動画制作という敷居の高さ(敷居が高い、つまりコストかかる、チェックに手間取る、CMをネットで流す際の著作権問題など)から、うまく情報発信に活用できていない企業が多い。
YouTubeという巨大な動画プラットフォームを活用していない企業は、マーケ担当者の怠慢ではないか。今や毎月15億人(MAU)が好きな時間、好きな場所、好きなデバイスで楽しむ世界有数のプラットフォームなのに、だ。その史上最大の動画プラットフォーム上での公式アカウントや動画・企画などそれに関わるコストはペイド広告とは比べ物にならないほどパフォーマンスの高いものだ。それを活用しない、取り組まない理由はない。ではなぜ今こそ、YouTubeを活用すべきなのか、その理由はこうだ。
YouTubeのテクノロジー進歩は半端なく、それを活用することでデジタルマーケティングの新たなヒントが見つかる。
当サイトでも伝えているが、YouTubeはほぼ3日に1回程度のアップデートが行われている。それはユーザーにとっての利便性を高め、DAU向上と再生回数の向上、それによる広告費収入の最大化のためである。この動画プラットフォームに対抗するメディアはもはや存在しないが、(昔はDaily MotionやAsk Video,Break.comなどがあったが、今は対抗しうるパワーはない)日々のそうした技術革新の先に、次のデジタルマーケティング施策のヒントがある。
動画検索機能の向上が想像を超えてくる
 以前にも述べたがGoogleCloudPlatformで提供されているVideoIntelligenceAPIがYouTubeに実装されてくると、とてつもない動画検索精度の向上が期待できる。今現在はタイトル文やタグ、またはコメント欄などのテキストデータで検索されているに過ぎないが、動画認識技術によって、動画の中身をYouTube(Google)が読み込み、その対象物を判断し、自動でタグ付けするようになる。(なっている?)そうなれば、動画による検索ニーズが大幅に向上し、Googleでの文字情報を必要とする検索よりも、スマホでの理解や臨場感などから検索がYouTubeへとシフトしていく可能性が高いということである。すでに若い女性の間では流行のお店やおいしいお店の検索ではGoogle離れを起こし、InstagramやTwitter、そしてYouTubeでの検索へシフトしていることは周知のことだろう。
 映像での臨場感や課題解決力を考えた場合、就職転職を考えている会社について社内の雰囲気を知りたい、社員の人となりを知りたい、旅行プランについてより臨場感を持って知りたい、ノウハウや問題解決において動画によって簡単に知りたいなどの欲求(ニーズ)は高まるだろう。そうした際に企業はユーザーニーズにこたえる検索結果において競合と比較して十分な動画をYouTubeに存在させているだろうか?もし競合企業もまたYouTubeにおいて適切な施策を打って出てなければ、そこには大きなチャンスが待っている。自社サービスをYouTubeで検索されるとしたら、どんなキーワードなのか?そしてその検索結果に消費者の求める正しいコンテンツがないとしたら、今すぐ行動に移すべきだ。
レコメンド機能やPush精度がますます向上する
 多くの企業担当者がYouTubeに対する理解があまりにも少なく愕然とすることも多い。動画のレコメンド機能については、単にこの動画を見た人はこの動画も見るだろうという単純レコメンドの粋を超えている。Googleアカウントでログインしているために、YouTubeだけで得られる興味関心データだけでなく、GoogleそのものがGoogleアカウントとして入手している情報を元にレコメンデーションしている。たとえばこうだ、週末、浅草浅草寺に足を運んだとしよう、そして週明け月曜日YouTubeのレコメンデーション動画に「浅草寺について」の動画が掲載される場合がある。これはGoogleがGoogleのプロダクトアプリから得られる位置情報から、浅草寺に訪問したと思われ、興味関心事項として浅草寺をレコメンドの対象にしている(あくまで編集部の予想だが、確かにそうだ)。またスマホ内でゲームアプリケーションとその駆動の高さからゲーム関連動画のレコメンドも想定される。こうしたGoogle、YouTubeの持つ多様なデータを活用してレコメンドするという機能を活用するためにも、YouTubeに自社の関連動画をふんだんに用意すべきなのだ。その動画コンテンツが良質(再生回数や視聴完了率など)であればあるほど、ユーザーに対するレコメンデーション頻度は上がる。自社がゴルフクラブ販売を、また車販売や旅行などを提供しているなら、それに関連する動画、しかも良質(高い制作費やタレントの出演などは必要ない)であればYouTubeが「タダで」見込客にレコメンドしてくるのだから、その技術を使わない手はない。当サイトではこうしたプラットフォームへの適応をPFO(プラットフォームオプティマイゼーション)と呼んでいるが、こうしたPFOの取り組みは、最終的には様々な施策の経験値がものを言う。
つづく)

  








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